無限センチメンタル
今、俺が彼女のために出来ること。

なんでもいい、少しでも彼女が笑ってくれるなら。


「そうだ!ずっとこんなとこに1人じゃ暇だろ?今度俺が何か持ってきてやるよ。」

唐突に、そんなことを思いついた。

「へ?」
俯いていた彼女も、顔を上げる。

「何がいい?」
俺の突飛な提案に、思いつめていた彼女の顔にも少しずつ笑顔が戻る。

「そう言われても、自分が何を好きだったかも覚えてないしな…。」


2人でしばし考え込む。

先に声を上げたのは、俺だった。

「あ、ギターだ!」

彼女の部屋で見つけたものといえば、ギターのピックに、楽譜。
ギターなら、俺が使ってるのを持ってこればいい。


ジリリリリ…!

今日はここでタイムリミット。

ゆらりと透け始める身体が、現実世界の朝の訪れを告げる。

そんな寂しそうな顔すんなよ。
またすぐ来るじゃんか。

「・・・っ、またすぐギター持って来るから待ってろよっ!」

俺が叫んだのは、もぅすでに現実のベットの上で。

窓からは朝の眩しい光が差し込んでいた。
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