無限センチメンタル
このピックを拾ってしまったのは、ちょうど3日前のこと。


「夏といえば肝試しだろ!」

メンバーと飲みに行った帰り、誰かがそんなことを言い出して。

酒とその場の勢いで辿り着いたのは、どこの街にも1つはあるであろう、いわゆる心霊スポットと呼ばれる場所。

まぁ言ってみれば、ただ誰も住んでないってだけのぼろアパートなんだけど。

それでも深夜ともなれば、充分過ぎるほどの雰囲気をかもし出していた。


「1年近く前、ここで1人死んでるらしーよ。」
肝試しには付き物の、怖い話大会が始まる。

「司が話すと、胡散臭ぇー。」

隣でそんな悪態を付きながら、俺達は鎖の掛かったアパート門を軽く乗り越えた。
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