キミと私の49日間 ~虹の端できっと・・・~
でも、家族の中で視えるのは、私だけ…
家族っていっても、家には母親しかいない
母親とは言えないような母親...
最後に母親が私の名前を呼んだのはいつだろう、その記憶も無くすほどに言われた記憶がない。
父親は、いつの間にか家から居なくなっていた。
その頃から母は荒れ始めたなあ、と思う。
でも、1人だけ視える人がいた
今はもういない
でも、この世で一番大好きだった、おばあちゃん
「あっ…」
今、私は探し物をしていた
「見つけた…
これですか?」
そう言って渡したのは、サファイアブルーの雫の形をしたペンダント。
光にかざすと星空のようにキラキラして、思わずうっとりと見てしまいそうなくらい綺麗。
「はい…!これです!
本当にありがとうございました」
そう答えたのは長い黒髪に透明感のある白い肌、大きな瞳に長いまつ毛と典型的な美人と言えるであろう20代くらいの女性。
街中で見かけたら思わず振り向いてしまいそうな彼女に、今は誰も見向きもしない。
___________そう、彼女は幽霊だから。
「どういたしまして!彼氏さんにもらった大事なものなんですよね?
もう、失くしたらだめですよ?」
「はい、本当にありがとうございます!
...これで、心残りなく虹の端に行けます。」
彼女は先程までの不安と恐怖心いっぱいの表情からは考えられなくらい、満面の笑みで答えた。
彼女の身体はすーっと透き通り、宙へ浮かび、ペンダントと共にだんだんと消えていく。
キラキラと、太陽に溶け込むように…
その光景は幻想的で、自分だけにしか見えないという特別感がある。
何度見てもこの光景は慣れることがない。
思わずボーッとその余韻に浸っていることに気づいて慌てて時計を見る。
「あっ、もうこんな時間!
学校遅れる!」
学校は、電車に揺られて30分
徒歩5分という距離
走れば間に合いそう、というか、間に合ってくれないと困る。