絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅳ
もしかしてそれって私にだけ仕事をくれるとか、そういう……。
「どう? スカイ東京で食事でもしながら」
え……。
「えっと……」
どうすればいいの???
「君じゃないと相談できないこととか、色々あるし」
え……、じゃあ、とか言うべきなんだろうか。
「えっと……はあ……」
「じゃあ、これ、俺の携帯」
と、さっと名刺を出し、裏を向けて自筆の携帯番号を見せた。既に記入済。
「仕事終わったらここにかけて。何時頃退社予定?」
「えっと……6時くらいかな……」
どうしよう、今日なんか予定あったっけ……?
「了解、じゃぁそれくらいに待機しとく。遅れるようだったらまた連絡して」
「え……はあ……」
半分以上あれで良かったのかどうか、かなり悩んだ。
今考えても、あの時今井に相談するべきだったんだと思う。だけどその時は……若い自分だけが声をかけられていることに無駄な罪悪感を感じたし、薄く、もしかしたら、私にだけ何か良い仕事を与えてくれるのかもしれない、と期待してしまったせいで、結局誰にも相談せずに仕事が終わって電話をかけて誘いを受けてしまったのだ。
「ここ、来たことある?」
何度目だろう。そのセリフ。レストランスカイ東京のビップルームで、香月はなんとなく笑って、「2度目です」と適当に返事をした。
「もしかして、彼氏、とかかな」
いや、そうではない。
「いえ……その、仕事関係で」
うんまあ、そういうことにしておこう。
「どう? スカイ東京で食事でもしながら」
え……。
「えっと……」
どうすればいいの???
「君じゃないと相談できないこととか、色々あるし」
え……、じゃあ、とか言うべきなんだろうか。
「えっと……はあ……」
「じゃあ、これ、俺の携帯」
と、さっと名刺を出し、裏を向けて自筆の携帯番号を見せた。既に記入済。
「仕事終わったらここにかけて。何時頃退社予定?」
「えっと……6時くらいかな……」
どうしよう、今日なんか予定あったっけ……?
「了解、じゃぁそれくらいに待機しとく。遅れるようだったらまた連絡して」
「え……はあ……」
半分以上あれで良かったのかどうか、かなり悩んだ。
今考えても、あの時今井に相談するべきだったんだと思う。だけどその時は……若い自分だけが声をかけられていることに無駄な罪悪感を感じたし、薄く、もしかしたら、私にだけ何か良い仕事を与えてくれるのかもしれない、と期待してしまったせいで、結局誰にも相談せずに仕事が終わって電話をかけて誘いを受けてしまったのだ。
「ここ、来たことある?」
何度目だろう。そのセリフ。レストランスカイ東京のビップルームで、香月はなんとなく笑って、「2度目です」と適当に返事をした。
「もしかして、彼氏、とかかな」
いや、そうではない。
「いえ……その、仕事関係で」
うんまあ、そういうことにしておこう。