絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅳ
宮下昇は、部下の朝比奈と交わした会話を昼からずっとトレースしていた。
食事会に香月を参加させるのはまあ、関係者、という点からだと分からないでもない。関係者に女性は一人くらい必要だろう。だがそうした場合、課長の次に当たる主任の方が適していることは間違いない。その、朝比奈が容姿うんぬんの話をしていたが、その見方は偏りすぎている。そんな大事な場面にただ美人だからというだけで参加させているはずがない。
だとしたら、幹部に香月を特別個人的に可愛がっている者がいる。しかも、かなり権力がある人物……そして、そのことによって、香月の地位を築いてやろうとしている人物……そう、香月をこの企画課に呼んだ真藤副社長だ。どういういきさつかは分からない。だが、ほぼ独断で決められたといっていいんだと思う。その時はバタバタして深く考えなかったが、だが今考えれば、真藤副社長の息子と仲がいいのなら、真藤との仲がある程度固まっているのかもしれない……。
急く頭で考え、そこまで到達してしまったが、それなら筋が通る。
真藤と香月は結婚間近で、副社長もそれを認めているため、新企画課の関係者として、また、顔を披露するため、食事会に呼んでいる……。いや、待て。
なら、なぜわざわざ村瀬部長に出欠をとらせ、それを嫌がるのか?
香月は結婚を望んでいない?
村瀬を出したのは、公的だと認めさせるため?
いや、なんだかこじつけだな……。
「宮下代理」
「はい」
デスクの椅子をくるりと回したところに立っていたのは、今まさに話題になった香月であった。
食事会に香月を参加させるのはまあ、関係者、という点からだと分からないでもない。関係者に女性は一人くらい必要だろう。だがそうした場合、課長の次に当たる主任の方が適していることは間違いない。その、朝比奈が容姿うんぬんの話をしていたが、その見方は偏りすぎている。そんな大事な場面にただ美人だからというだけで参加させているはずがない。
だとしたら、幹部に香月を特別個人的に可愛がっている者がいる。しかも、かなり権力がある人物……そして、そのことによって、香月の地位を築いてやろうとしている人物……そう、香月をこの企画課に呼んだ真藤副社長だ。どういういきさつかは分からない。だが、ほぼ独断で決められたといっていいんだと思う。その時はバタバタして深く考えなかったが、だが今考えれば、真藤副社長の息子と仲がいいのなら、真藤との仲がある程度固まっているのかもしれない……。
急く頭で考え、そこまで到達してしまったが、それなら筋が通る。
真藤と香月は結婚間近で、副社長もそれを認めているため、新企画課の関係者として、また、顔を披露するため、食事会に呼んでいる……。いや、待て。
なら、なぜわざわざ村瀬部長に出欠をとらせ、それを嫌がるのか?
香月は結婚を望んでいない?
村瀬を出したのは、公的だと認めさせるため?
いや、なんだかこじつけだな……。
「宮下代理」
「はい」
デスクの椅子をくるりと回したところに立っていたのは、今まさに話題になった香月であった。