絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅳ
「それは、宮下部長は関係あるの?」
「いや、違うらしい。その後だって。社内かどうかも分からないって言ってたな。香月さん、営業に、新企画にって、あんまり本社に女友達いないみたいだからみんな憶測で話するばっかりだけど」
「……」
そこで、わりと今井さんといるよ、とは言えない。ストーカーがばれてしまう。
「で、今は建築家の先生に気に入られてるんだよ。その建築士が香月さんを指名して、毎週事務所まで来させてる。ファックスで済むような内容なのに、わざわざ。……皆黙認してるけど、まあ、何してんだろねーって噂もある」
「……なんだったっけ、名前」
「建築士の? 牧だよ」
「まき……」
「えーと」
永井はすぐに携帯を取り出してホームページを確認した。
「ほら、これ」
すぐに顔写真とプロフィールが出てくる。
なになに、東京芸術家大学を卒業し、海外で修行した後日本で独立か……。エリートの王道だ。
「……」
「けどまあ、そういう誘いをのこのこ受けるような感じではないんだよなあ。
なんというか、何で本社にいるのかちょっと謎だし。まあ、僕が言えた義理じゃないけど」
「え、というと?」
「ほっとんど仕事してないよ、あの人。その、牧関係以外は何も」
「……」
「いや、違うらしい。その後だって。社内かどうかも分からないって言ってたな。香月さん、営業に、新企画にって、あんまり本社に女友達いないみたいだからみんな憶測で話するばっかりだけど」
「……」
そこで、わりと今井さんといるよ、とは言えない。ストーカーがばれてしまう。
「で、今は建築家の先生に気に入られてるんだよ。その建築士が香月さんを指名して、毎週事務所まで来させてる。ファックスで済むような内容なのに、わざわざ。……皆黙認してるけど、まあ、何してんだろねーって噂もある」
「……なんだったっけ、名前」
「建築士の? 牧だよ」
「まき……」
「えーと」
永井はすぐに携帯を取り出してホームページを確認した。
「ほら、これ」
すぐに顔写真とプロフィールが出てくる。
なになに、東京芸術家大学を卒業し、海外で修行した後日本で独立か……。エリートの王道だ。
「……」
「けどまあ、そういう誘いをのこのこ受けるような感じではないんだよなあ。
なんというか、何で本社にいるのかちょっと謎だし。まあ、僕が言えた義理じゃないけど」
「え、というと?」
「ほっとんど仕事してないよ、あの人。その、牧関係以外は何も」
「……」