絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅳ
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翌日の夜。永井はいつも通りスマートに香月を食事に誘い、涼屋と3人での食事会を意図も簡単に演出して見せた。さすが、伊達に女性の扱いに慣れてはいるだけのことはある。
選んだ店ももちろん女性向けで、昨日食べた安いラーメン屋とはわけが違う。
涼屋は、テーブル席についてから一瞬、退社前に下着を履き替えたことを思い出したが、それはそれでいいんだと、強くこぶしを握り、3人で三角形を作るように、座った。
「ここ、一回来てみたかったの」
香月はにっこり笑って涼屋に微笑みかけてくる。そう、まるで夢のように。
「ここ僕結構来ますよ。女の子うけいいですし」
永井も普通に男前になっている。さすがだ。
「いいなあ。今日は、ちょっと滅入ってたから、外食できて嬉しいな」
素直に香月はメニューを広げた。これがまさか、佐々木を貶めようとしている表情には、まるで見えない。
「何かあったんですか?」
永井がすかさず聞いた。
「うーん、牧先生、厳しいから」
香月は短く答える。
「ファックスとか使いませんよね? そーゆーの、嫌いなんですか?」
おいおい、そういう困らせるようなこと、言うなよ。
「うーん、というか、暇?(笑)。
ああいうすごい人だから、こんなビル作ったんだぞーって模型とか見せてきて、私が、すごいですね!! って言うのが嬉しいみたい」
「仕事に関係ない(笑)」
「ないよ、大半」
香月は何故かきつく言い切った。それが、どうも不審に思えて仕方ない。
3人はそれぞれ肉をメインとするイタリアンを注文すると、一息ついた。
「けど香月さん、気に入られてますよね。かなり」
永井―。
「うん、元々ちょっとした知り合いだったからね」
「え、そうなんですか」
永井はとても驚いた表情を見せた。
「私は完全に忘れてたけど、実は昔……友人の、彼氏のえーと、知り合い、みたいな感じで一回見たことあってね」
「へえー、それは、すごい偶然ですね」
「まあね」
笑いながら耳に髪をかけたと同時にテーブルに、料理が運ばれてくる。香月は頼んだ料理に歓喜を上げてから、丁寧に食事を摂り始めた。
翌日の夜。永井はいつも通りスマートに香月を食事に誘い、涼屋と3人での食事会を意図も簡単に演出して見せた。さすが、伊達に女性の扱いに慣れてはいるだけのことはある。
選んだ店ももちろん女性向けで、昨日食べた安いラーメン屋とはわけが違う。
涼屋は、テーブル席についてから一瞬、退社前に下着を履き替えたことを思い出したが、それはそれでいいんだと、強くこぶしを握り、3人で三角形を作るように、座った。
「ここ、一回来てみたかったの」
香月はにっこり笑って涼屋に微笑みかけてくる。そう、まるで夢のように。
「ここ僕結構来ますよ。女の子うけいいですし」
永井も普通に男前になっている。さすがだ。
「いいなあ。今日は、ちょっと滅入ってたから、外食できて嬉しいな」
素直に香月はメニューを広げた。これがまさか、佐々木を貶めようとしている表情には、まるで見えない。
「何かあったんですか?」
永井がすかさず聞いた。
「うーん、牧先生、厳しいから」
香月は短く答える。
「ファックスとか使いませんよね? そーゆーの、嫌いなんですか?」
おいおい、そういう困らせるようなこと、言うなよ。
「うーん、というか、暇?(笑)。
ああいうすごい人だから、こんなビル作ったんだぞーって模型とか見せてきて、私が、すごいですね!! って言うのが嬉しいみたい」
「仕事に関係ない(笑)」
「ないよ、大半」
香月は何故かきつく言い切った。それが、どうも不審に思えて仕方ない。
3人はそれぞれ肉をメインとするイタリアンを注文すると、一息ついた。
「けど香月さん、気に入られてますよね。かなり」
永井―。
「うん、元々ちょっとした知り合いだったからね」
「え、そうなんですか」
永井はとても驚いた表情を見せた。
「私は完全に忘れてたけど、実は昔……友人の、彼氏のえーと、知り合い、みたいな感じで一回見たことあってね」
「へえー、それは、すごい偶然ですね」
「まあね」
笑いながら耳に髪をかけたと同時にテーブルに、料理が運ばれてくる。香月は頼んだ料理に歓喜を上げてから、丁寧に食事を摂り始めた。