絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅳ
「すっごい美味しそう……私、チョコレートとチーズ大好きなんです! しかも量が多くて素敵!!」
「それは良かった。僕も味見してるからね、ちゃんと。この、チョコの間に入ってるラズベリーがまた酸味がきいておいしいんだ」
附和の話を聞きながらもその存在は無視して、既に手にフォークを持った。
「えー、私、酸味嫌いです。本当は家ならこの酸味がきいたところはよけて食べるんですけど、今日はせっかくだからちゃんと食べますね」
「あー、くそー(笑)。完全な甘党なんだね」
「そうですね。コーヒーより、コーヒーに入れる砂糖の方が好き」
「参考になるね」
「なりますか、そんなの(笑)」
「なるなる」
言ってみたものの、その酸味自体もすっぱすぎずなかなか美味しかったケーキに、香月は大そう満足した。この前、ホテルで食べ損ねたのを取り返すのに十分の味と量だと言っても過言ではない。
「ところで」
ただ食べるのを見ていた附和が退屈しないように、さっと平らげてしまった香月は、最後の一口を口に入れてすぐ切り出した。
「はいはい、電話番号ね」
「今すぐ聞いてくれるんですか?」
「今? うーん、まあ、部屋にいるかどうか分からないけど」
「……けど、附和さんくらいの人なら、会社に電話しただけで携帯番号教えてくれたりするんじゃないですか?」
「さあ、どうだかね」
「え、本当は自信ないんですか!?」
さすがに睨みをきかせた。
「そんなことないない。じゃあこの場でかけてみようか?」
「お願いします」
附和は携帯電話のボタンをいくつか操作し、耳にあてた。
「それは良かった。僕も味見してるからね、ちゃんと。この、チョコの間に入ってるラズベリーがまた酸味がきいておいしいんだ」
附和の話を聞きながらもその存在は無視して、既に手にフォークを持った。
「えー、私、酸味嫌いです。本当は家ならこの酸味がきいたところはよけて食べるんですけど、今日はせっかくだからちゃんと食べますね」
「あー、くそー(笑)。完全な甘党なんだね」
「そうですね。コーヒーより、コーヒーに入れる砂糖の方が好き」
「参考になるね」
「なりますか、そんなの(笑)」
「なるなる」
言ってみたものの、その酸味自体もすっぱすぎずなかなか美味しかったケーキに、香月は大そう満足した。この前、ホテルで食べ損ねたのを取り返すのに十分の味と量だと言っても過言ではない。
「ところで」
ただ食べるのを見ていた附和が退屈しないように、さっと平らげてしまった香月は、最後の一口を口に入れてすぐ切り出した。
「はいはい、電話番号ね」
「今すぐ聞いてくれるんですか?」
「今? うーん、まあ、部屋にいるかどうか分からないけど」
「……けど、附和さんくらいの人なら、会社に電話しただけで携帯番号教えてくれたりするんじゃないですか?」
「さあ、どうだかね」
「え、本当は自信ないんですか!?」
さすがに睨みをきかせた。
「そんなことないない。じゃあこの場でかけてみようか?」
「お願いします」
附和は携帯電話のボタンをいくつか操作し、耳にあてた。