絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅳ
巽は再び同じセリフを吐くと、玄関へ向かった。
「関係ないことないじゃん!! あの人、あなたが来るの、待ってたんだよ? もしかして、新東京マンションと間違えて、ここに来たんじゃないの!?」
「余計なことは、考えなくていい」
巽はもう靴を履き終えている。
「全然余計なことじゃないよ!」
香月は、その太い腕を両方掴んだ。
「あの人、子供産みたいから逃げて来たんでしょ? どうして産ませてあげないの?」
「……あの女への出資額は一億になる。それを今無駄にするわけにはいかん」
一体、どんなことが起きているんだと、怖くなったが、
「お金と人の命と、どっちが大事なの!?」
その、巽の冷徹な考えを吹き飛ばさなければ、と香月は、更に手に力を込めた。
「お前はまた、その一億を稼ぐために、クラブへ戻るのか?」
ハッとして、何も言い返せなかった。香月はただ、顔を顰めて俯く。
「他人のことだ、気にするな。もうじき、風間がここへ来る。悪いがそれまで部屋を貸しておいてくれ」
巽は少し優しく言ったかと思うと、ついに玄関から出た。
「待って。ロビーまで送る」
香月はすぐにサンダルをつっかけて、外へ出た。
「……この前さ、附和さん怒らせちゃった」
香月は、あの日、エレベーターで地下まで行ったことを突然思い出した。
「いつものことだろ」
「ううん……、部屋まで呼んだの。あ、そう。色々あってね。また話す」
「部屋でみすみす体を許した話か?」
「関係ないことないじゃん!! あの人、あなたが来るの、待ってたんだよ? もしかして、新東京マンションと間違えて、ここに来たんじゃないの!?」
「余計なことは、考えなくていい」
巽はもう靴を履き終えている。
「全然余計なことじゃないよ!」
香月は、その太い腕を両方掴んだ。
「あの人、子供産みたいから逃げて来たんでしょ? どうして産ませてあげないの?」
「……あの女への出資額は一億になる。それを今無駄にするわけにはいかん」
一体、どんなことが起きているんだと、怖くなったが、
「お金と人の命と、どっちが大事なの!?」
その、巽の冷徹な考えを吹き飛ばさなければ、と香月は、更に手に力を込めた。
「お前はまた、その一億を稼ぐために、クラブへ戻るのか?」
ハッとして、何も言い返せなかった。香月はただ、顔を顰めて俯く。
「他人のことだ、気にするな。もうじき、風間がここへ来る。悪いがそれまで部屋を貸しておいてくれ」
巽は少し優しく言ったかと思うと、ついに玄関から出た。
「待って。ロビーまで送る」
香月はすぐにサンダルをつっかけて、外へ出た。
「……この前さ、附和さん怒らせちゃった」
香月は、あの日、エレベーターで地下まで行ったことを突然思い出した。
「いつものことだろ」
「ううん……、部屋まで呼んだの。あ、そう。色々あってね。また話す」
「部屋でみすみす体を許した話か?」