絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅳ
いくらなんだって、死体で発見だなんて、そんな……有り得ない。
ゆっくりロビーまで戻ると、既に風間が、あの女の人の肩を支えて歩いているところだった。
「あの……」
香月は序所に寄って行くが、その声は誰にも聞こえない。
「あの!!」
思い切って叫んだ。
風間も、近くにいた数人が振り返る。
巽が顔を顰めている予感がしたが、気付かないふりをした。
「私、お姉さんに言いました。あなたは元気ですって」
きっと、笑って、いや、泣いて喜ぶだろうと思った。この人は囚われの身で、姉に会いたくて仕方ないのに、会わせてくれないに決まっているから。
なのに、その言い放つ表情と口調は香月の想いと全くの正反対のものであった。
「……今度会ったら、死んだって言って下さい」
ゆっくりロビーまで戻ると、既に風間が、あの女の人の肩を支えて歩いているところだった。
「あの……」
香月は序所に寄って行くが、その声は誰にも聞こえない。
「あの!!」
思い切って叫んだ。
風間も、近くにいた数人が振り返る。
巽が顔を顰めている予感がしたが、気付かないふりをした。
「私、お姉さんに言いました。あなたは元気ですって」
きっと、笑って、いや、泣いて喜ぶだろうと思った。この人は囚われの身で、姉に会いたくて仕方ないのに、会わせてくれないに決まっているから。
なのに、その言い放つ表情と口調は香月の想いと全くの正反対のものであった。
「……今度会ったら、死んだって言って下さい」