絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅳ

ロールスロイスに乗り込んで、一息つく。
 どうにも香月は、トラブルに巻き込まれやすい。
 まあ、仕方ないと言えば、それまでだ。とにかく、あの外見は人目を引く。完璧に整った顔立ちは、誰の目を引くことも可能だ。
 白い肌はまるで陶器のようにつややかで、くすみがない。その上に乗る大きな瞳は、機敏に動き、どんな表情でも作ってみせる。また、鼻筋はまっすぐと通っており、唇は赤く、薄い。その全てが、幾多もあるその長所全てが、完璧に、香月を作り上げている。
 その顔を最初に見た時、リュウに嫉妬をした。そうだ、まずその感情が先に出た。だから、迷わず人質にしたのかもしれない。その時点ではまだリュウの女かどうかも定かではなかったが、これほどの女が、のこのことただパーティに来ているわけもなく、俺は、そこに掛けた。
 そして、それは間違ってはいなかった。
 それに、香月が近づいてきたことを利用して、物にしたのも、そう。
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