絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅳ
永井が突然とんでもない名前を出す。
「そんなんじゃないない、次元はずれ」
「次元―!?」
「あのね、絶対あたらないと思うなー」
「えーと、社長?」
 多岐川は一生懸命考えて言った。
「確かに次元外れ」
 全員笑う。
「あのねー、四対財閥の長男だよ」
「え゛―!?!?」
 突然の種明かしに香月を含めた全員が声を上げた。
 が、しかし、
「違う、違う、違いますよ!! 何言ってんですか、あの人!!」
「え、伊吹君の勘互い?」
「違う、違う。確かに、伊吹さんのお店に2人で行きましたけど、ただの友達です。ただの友達。彼氏は他にいます」
「四対財閥の長男が友達ってすごすぎぃ!!」
「私に紹介してください!!」
 多岐川は目を輝かせて懇願してきた。
「えっ……と、言われて、も……」
「彼女いないんでしょ、その人」
「えー……さあ、そこはあんまり知らないなあ……」
 そういえばこの前電話した時、彼女らしき人がいたような気もするが、よくは知らない。
「どういう仲なんですか、香月さんと」
「えー……と、友達の、友達の、友達。そう、最初は友達の、友達の、友達だって。で、パーティに行ったら、その日に突然オーストラリアに行くからって誘われて」
「えー!!」
「自家用機、飛行機で、オーストラリアに行った。深夜に突然。何の用意もしてないのに。で、ダイビングして帰って来た」
「すごーい!!」
 いつの間にか、今井も絶賛している。
「なんでそういう人、紹介しないのよ!!」
「けど、そのメンバーとか、とにかくみんな若いんですよ! 20歳そこそこ。その、長男だって、22とかですよ!?」
 言って、すぐに後悔する、年齢を誇張しすぎた。
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