絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅳ
 ハッ!! なるせ!!!!
「えー!! やっぱ知り合いなんじゃん!!」
「しっ、知りませんよ、こんな人!! そんな有名人ばっかり知ってるはずがないじゃないですか!! 成瀬さん、そりゃ今思えば似てるかもしなれいけど、全然違いますよ、全くの別人です、はい!!」
 香月は成瀬を視線で押さえつける。
「……ああ……そっか、服が似てたのかな……髪型とか」
「そうそう、みんながそういうからそんな気がしてるだけ!!」
「香月さん、今度一緒に2人でランチとか行きません?」
 何故だ多岐川……。
「あんたねー、香月さんと仲良くなったって、その周辺と仲良くなれるとは限らないよ!?」
 さすが庶務課!! だてに年食ってない!
「だってー、何もしないより、マシだと思いません?」
 何もしないより、私と食事行った方がマシなのか!!
 ピンポーン……。
 最高にヒートアップしたこの空気を冷やすのに丁度いい電子音。というか、まだ誰か来るのか?
「あー、開けて。まだ人来るんだった。香月さん悪いけど開けてきて」
「あ、はい」
 まあ、部下だから仕方ない。
 というか、あとはどのくらい人が来るんだろう……。
 ガチャリとドアを開けた。
「こんばんは」
 ……というか……、これまさか、仕組んでませんよね??
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