絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅳ
「そりゃそうですよね、四対財閥の長男なんだから」
「え、いや……」
「どうせ私に恥かかせたかっただけでしょ!? 自分だけ金持ちと親しくして」
「いや、私はそんなつもりは全然……」
「香月さん、感じ悪いって本当ですね」
「……」
 堂々と目を見て言い切られた。
「会社のその辺中の男たぶらかして。昨日は言わなかったけど、佐々木さんともデキてるんでしょ!? 信じらんない」
「え、佐々木……?」
「離婚させたの、佐藤さんじゃ足りないんですか」
「……私は……」
「何ですか!? 何か言い返せるようなことがあるんですか!?」
 多岐川に切れられている意味が分からなかったが、年下にそこまで言われて、黙っておく必要もない!!
「私はあなたが四対さんと知り合いたいっていうから、考え抜いて、こんな面倒なことしてきたんじゃない!!」
「だからなんでよりにもよってそんな手作りなんですか!!」
「それくらいしか思いつかなかったんだから仕方ないじゃない!! 今日だって、2時、3時の次は深夜12時しか無理だっていうから!! 最近ずっと忙しいって言ってたからこっちだって気遣ってんのよ!!」
「いいじゃないですか、友達なんだから多少は」
「って言ったってね、普通でしょう!? それ」
「普通にカフェに誘えばよかったんですよ」
「そんなね、普通にカフェに誘えるはずないし!! あの人は普通とは違うんだから、用もないのにカフェやランチに誘えないよ! 昨日だって、外務大臣と会食してたから電話とれなかったって言ってた。そういう人なんだよ!? むやみに誘えないよ」
「じゃあそう言ってくれればよかったじゃないですか!!」
「だからカフェとかランチは無理だけど、もし時間があればディズニーランドなら遊びに行けると思ったけど、時間なかったから、せめてなんかこっちが誠意つくしたところを見せれば、会う価値もあると思ってくれると思ったのよ」
「自分のためじゃないですか、それ」
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