絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅳ
 何かが壊れる音が聞こえた。
 その瞬間、自分の中の全てを壊そうと、スイッチが完全に入ってしまった。
 後戻り、できなくてもいいと、そう思ってしまったんだ。
「もういい!」
 きっと巽は、私が四対との旅行に行って浮気したとしても、附和とスゥィートに泊ったとしても、四対の姉とのことがあるからどうでもいいと思ってるんだ!
「私は絶対浮気なんてしない!! けどもういい!!」
 向き直って玄関目がけて大きく一歩を踏み出した。
「待て」
 右肩をつかまれバランスを崩しそうになったが、その手を肩で振り払った。
「……私はいつか、結婚もしたいし、子供も欲しい」

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