絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅳ
「どこで働いてんの?」
どういうつもりなのか、彼は突然携帯を取り出して操作し始めた。
「え、エレクトロニクスの本社です……」
「あー……。番号あったかな……」
な、何の番号?
「あったあった。ラッキー……。もしもし? 久しぶりー、ちょっと頼みたいことがあってさ。あれ、あんた名前は?」
電話の途中だろうが構わず彼はこっちを向いた。
「あ、香月です」
「香月って人がさ、そっちで働いてると思うんだけど……うん……アイ?」
また聞いてきた。
「あっ、はい」
「うんそう。でさ、明日明後日オーストラリア行くから」
えっ……?
「(笑)なんだよ。いいじゃん少々。本人……うーん、俺の意思かな。……それは関係ねーよ。頼むわ。またあれ持ってくからさ。(笑)。うん、じゃあな」
電話は簡単に切れた。
「明日休みにしたから」
ってこの人、まさかすんごい権力使って、勝手に私の仕事を無くした!?
「えっとあのそれは……」
困るんですけど!! の一言を待たずに彼は、
「おーい、いつきぃ!!」
と呼ばれ、ようやくこちらから離れたのである。
この隙に帰ろう、思い立ってソファから立ち上がったが、そうだ最上を置いて帰るわけにはいかない。しかも彼女は今宵限りのシンデレラで、朝には必ず帰らないといけない。つまり、一緒に帰ってやらないといけないのだ。
そう強く心に決めて、グラスをテーブルに置き、時計を確認した。
時刻は午後10時半。最上がいつ帰るつもりなのか、それだけでも聞いておこうと、ようやくその場に近づき始めた。
「あ、先輩……」
しかも彼女は。酔っているのかどうなのか、頬を赤くして千と2人で話し込んでいた。
「あの……すみません」
一応千に断ってから小声で話し始めた。
「何時に帰るの?」
「私、今日帰りません」
「え?」
どういうつもりなのか、彼は突然携帯を取り出して操作し始めた。
「え、エレクトロニクスの本社です……」
「あー……。番号あったかな……」
な、何の番号?
「あったあった。ラッキー……。もしもし? 久しぶりー、ちょっと頼みたいことがあってさ。あれ、あんた名前は?」
電話の途中だろうが構わず彼はこっちを向いた。
「あ、香月です」
「香月って人がさ、そっちで働いてると思うんだけど……うん……アイ?」
また聞いてきた。
「あっ、はい」
「うんそう。でさ、明日明後日オーストラリア行くから」
えっ……?
「(笑)なんだよ。いいじゃん少々。本人……うーん、俺の意思かな。……それは関係ねーよ。頼むわ。またあれ持ってくからさ。(笑)。うん、じゃあな」
電話は簡単に切れた。
「明日休みにしたから」
ってこの人、まさかすんごい権力使って、勝手に私の仕事を無くした!?
「えっとあのそれは……」
困るんですけど!! の一言を待たずに彼は、
「おーい、いつきぃ!!」
と呼ばれ、ようやくこちらから離れたのである。
この隙に帰ろう、思い立ってソファから立ち上がったが、そうだ最上を置いて帰るわけにはいかない。しかも彼女は今宵限りのシンデレラで、朝には必ず帰らないといけない。つまり、一緒に帰ってやらないといけないのだ。
そう強く心に決めて、グラスをテーブルに置き、時計を確認した。
時刻は午後10時半。最上がいつ帰るつもりなのか、それだけでも聞いておこうと、ようやくその場に近づき始めた。
「あ、先輩……」
しかも彼女は。酔っているのかどうなのか、頬を赤くして千と2人で話し込んでいた。
「あの……すみません」
一応千に断ってから小声で話し始めた。
「何時に帰るの?」
「私、今日帰りません」
「え?」