絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅳ
四対は急に立ち上がり、腕を掴んだ。
正面玄関から今入ってきたばかりのボーイ2人が固まり、会話が中断した。
香月はなだめるつもりで、四対の手をとり、座るように促した。
「二千万は千が支払った」
四対は小声で言った。
「え……」
彼は真っ直ぐ前を見ている。
「千のミスだ、完っ全に」
テーブルに唾が飛ぶほどの勢いで吐き捨てた。
「えっ、なっ……何言っ……」
「会社もいかねーで……携帯もつながらねーし」
「……」
四対はこちらをしっかりと見つめて言った。
「みんな、心配してるぞ」
「……みんな……って?」
「お前の友達だよ! あいつ、千の女」
「……別れたんだよね?」
「より戻したって。女が離婚したから」
「え……」
何故今までその可能性を考えなかったのか、自分でも不思議だった。
「千の奴もどうだかな……どういうつもりなのかは、はっきり分からねーけど」
「離婚……」
「ついこの間の話だよ」
「子供……子供は?!」
まさか、夫側に取られたということはないとは思うが。
「子供は……さあ? そこまでは何も聞いてない」
「何、最上に会ったの?」
「いや」
「……」
「突然お前と連絡がとれなくなって……。その次の日から昨日まで俺もずっと海外行ってたんだ。だけど日本にいた奴に調べてもらったら、千の女が二千万も借金して、それを肩代わりしたってゆーから……千に来てもらって話聞いた。賭博のことも聞いた。とにかく千が金出すって話しでまとまって、ようやく昨日帰って来られたんだ。金は全額払ってる。もう支払いのためにここで働く必要はねーぞ」
「……うそ……」
正面玄関から今入ってきたばかりのボーイ2人が固まり、会話が中断した。
香月はなだめるつもりで、四対の手をとり、座るように促した。
「二千万は千が支払った」
四対は小声で言った。
「え……」
彼は真っ直ぐ前を見ている。
「千のミスだ、完っ全に」
テーブルに唾が飛ぶほどの勢いで吐き捨てた。
「えっ、なっ……何言っ……」
「会社もいかねーで……携帯もつながらねーし」
「……」
四対はこちらをしっかりと見つめて言った。
「みんな、心配してるぞ」
「……みんな……って?」
「お前の友達だよ! あいつ、千の女」
「……別れたんだよね?」
「より戻したって。女が離婚したから」
「え……」
何故今までその可能性を考えなかったのか、自分でも不思議だった。
「千の奴もどうだかな……どういうつもりなのかは、はっきり分からねーけど」
「離婚……」
「ついこの間の話だよ」
「子供……子供は?!」
まさか、夫側に取られたということはないとは思うが。
「子供は……さあ? そこまでは何も聞いてない」
「何、最上に会ったの?」
「いや」
「……」
「突然お前と連絡がとれなくなって……。その次の日から昨日まで俺もずっと海外行ってたんだ。だけど日本にいた奴に調べてもらったら、千の女が二千万も借金して、それを肩代わりしたってゆーから……千に来てもらって話聞いた。賭博のことも聞いた。とにかく千が金出すって話しでまとまって、ようやく昨日帰って来られたんだ。金は全額払ってる。もう支払いのためにここで働く必要はねーぞ」
「……うそ……」