絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅳ
あまりに突然のことで、どんな言葉も思いも浮かばなかった。
「……お前のその……彼氏のところは一番最初に行ったけど、知らないの一点張りで。あいつにどうにかされたんじゃねーのかって思ったり」
「あの人に会ったの!?」
「だっておかしいと思うだろ!? 俺は今まで5日に一度は意識して連絡とってたのに、突然何日も音沙汰なしになったら」
「……そうだね……」
突然の朗報にただ呆然とする以外、方法が見当たらない。
四対が、四対が助けに来てくれた……。もつべきものは、連絡を頻繁に取り合っている友人……いや、そもそも最上の借金なのだから、解決するのは四対が一番適していたともいえる。
頬が熱くなったが、震えて深呼吸をすると、肩の力まで抜けてしまいそうだった。
「それにしてもよくやったな……他人のために会社まで……。真籐のオヤジに話しはつけてある。だから、いつでも帰れるぞ」
「……そうなの? 私、辞表出したんだけど……」
「さあ。休職扱いになってるって言ってたぞ」
「そうなんだ……。辞表、預かってくれてるってことだね……」
宮下に助けられたのかもしれない。そう思うだけで、目に涙が溢れた。
「まあ、それは追々……。とりあえず、帰るぞ」
「えっ、待って。どうしよう、辞めるって言ってこなきゃ……」
「いんじゃね? そんなの。どうせお前の借金の話しも知ってんだろ。いなくなれば、完済したと思うんじゃね?」
「まあ、そうだけど……」
「……言って来るってんなら待ってるけど」
「うん……」
香月はそのまま店の奥へ入った。
だが、この日、香月が店に戻ってくることはなかった。四対は店主に怒りをぶちまけ、奥まで乗り込んだが、店の裏から出たと説得され、散々暴れてから店外に探しに出た。
「その、四対さんが言うように、借金の返済ができたんだとしたら、彼氏のところにでも行ったんじゃないのかしら……」
もちろん四対がママのこんな話しに動じるわけもなかったが、同日、香月より、
「ごめん、さっきは言わなかったけど本当は自分の借金もあるの……けど、これは自分で返したいから、お願いだから何もしないで。もうお店には来ないで。お願い。約束して。絶対に来ないで」
と、一方的な電話が入った。
納得がいかない四対であったが、時同じくして四対財閥の運命をかけた海外事業の真っ最中であり、結局そのまま四対は何の納得もいかずに、一旦アメリカに帰るはめになったのである。
「……お前のその……彼氏のところは一番最初に行ったけど、知らないの一点張りで。あいつにどうにかされたんじゃねーのかって思ったり」
「あの人に会ったの!?」
「だっておかしいと思うだろ!? 俺は今まで5日に一度は意識して連絡とってたのに、突然何日も音沙汰なしになったら」
「……そうだね……」
突然の朗報にただ呆然とする以外、方法が見当たらない。
四対が、四対が助けに来てくれた……。もつべきものは、連絡を頻繁に取り合っている友人……いや、そもそも最上の借金なのだから、解決するのは四対が一番適していたともいえる。
頬が熱くなったが、震えて深呼吸をすると、肩の力まで抜けてしまいそうだった。
「それにしてもよくやったな……他人のために会社まで……。真籐のオヤジに話しはつけてある。だから、いつでも帰れるぞ」
「……そうなの? 私、辞表出したんだけど……」
「さあ。休職扱いになってるって言ってたぞ」
「そうなんだ……。辞表、預かってくれてるってことだね……」
宮下に助けられたのかもしれない。そう思うだけで、目に涙が溢れた。
「まあ、それは追々……。とりあえず、帰るぞ」
「えっ、待って。どうしよう、辞めるって言ってこなきゃ……」
「いんじゃね? そんなの。どうせお前の借金の話しも知ってんだろ。いなくなれば、完済したと思うんじゃね?」
「まあ、そうだけど……」
「……言って来るってんなら待ってるけど」
「うん……」
香月はそのまま店の奥へ入った。
だが、この日、香月が店に戻ってくることはなかった。四対は店主に怒りをぶちまけ、奥まで乗り込んだが、店の裏から出たと説得され、散々暴れてから店外に探しに出た。
「その、四対さんが言うように、借金の返済ができたんだとしたら、彼氏のところにでも行ったんじゃないのかしら……」
もちろん四対がママのこんな話しに動じるわけもなかったが、同日、香月より、
「ごめん、さっきは言わなかったけど本当は自分の借金もあるの……けど、これは自分で返したいから、お願いだから何もしないで。もうお店には来ないで。お願い。約束して。絶対に来ないで」
と、一方的な電話が入った。
納得がいかない四対であったが、時同じくして四対財閥の運命をかけた海外事業の真っ最中であり、結局そのまま四対は何の納得もいかずに、一旦アメリカに帰るはめになったのである。