絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅳ
「偶然ミサトコーポレーションの関係者から話しを聞いたのですが、香月さんがホステスになって店の売り上げが伸びたことにより、店側と水野が借金の上乗せをしたようです。元々の二千万は既に裏千家の方が完済していますが、更に二百万が生活費名目で挙げられています」
「……」
 巽は溜め息をついた。
「アクシアの店長からですが」
 更にじろりと、風間を見つめた。
「チックの新人が美人で話題になっている、とのことでした。そのせいで客が流れないよう、手は打ってあるとのことです」
「……」
「彼女は結局、そのまま店を続けるようです」
 今度は自分が助けに行くべきなのか……。
 巽は目を閉じた。水野を先に始末してしまう方法、チックのママを買収する方法、様々な方法が頭の中を巡った。
 だが、すぐに腰を上げる。
「この後の仕事は全部明日に回す」
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