絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅳ
「まああれよ。もうさ、色々あったじゃん……思えばそう……本当に……」
「え、……そうか?」
「うん……。あそうよ、榊から電話があってね、阿佐子のお兄さんから縁談もらったこともあったの。その相手の人もしつこくてね……、まあ、今度電話がかかってきても、大丈夫だわ。結婚できないってちゃんと言えるから」
「……あそう……」
阿佐子の兄が? 何故そんな話しを持ってきたりしたんだ……。
「……私、警察官に監禁されたことがあってね……最悪よもう……その時なんか避妊されなかったんだから。3日間朝晩。だけど妊娠しなかったの。けどね、もうすぐその警察官、刑務所から出て来るのよ。そうしたら、どうする? 私、また捕まったらどうしようって、けどもう今度は大丈夫。妊娠しないからね。まあ、気分は楽なのよ」
「……帰ろう」
巽はチェックを指示する。夕貴もそれに素早く反応した。
「今日は俺の奢りです。おい……、飲みすぎだよ……。すみません、軽くしたつもりですが」
「いや、久しぶりに楽しい酒だったんだろう。来て良かった」
その声を聞いて、本当にほっとしたが、
「ごめん、私、お金ないの……」
「帰るぞ」
巽の言葉など、何も聞いていないかのようにうなだれる香月。
「どうしよう……榊にも会ってこうか……」
だが、この言葉だけはわりと本気に決まっているので、
「やめろ。そんな酔って会ったって仕方ない」
と、しっかり否定した。
「台無しかしら。過去の思い出が」
「酔いすぎだよ。帰って寝た方がいい」
巽は「今日はこのまま帰ろう」と、香月の肩を抱いてなだめてくれる。が、
「阿佐子に会いたいな……」
香月は酔っているのかどうなのか、完全に自分を見失っていた。
「帰ろう」
「え、……そうか?」
「うん……。あそうよ、榊から電話があってね、阿佐子のお兄さんから縁談もらったこともあったの。その相手の人もしつこくてね……、まあ、今度電話がかかってきても、大丈夫だわ。結婚できないってちゃんと言えるから」
「……あそう……」
阿佐子の兄が? 何故そんな話しを持ってきたりしたんだ……。
「……私、警察官に監禁されたことがあってね……最悪よもう……その時なんか避妊されなかったんだから。3日間朝晩。だけど妊娠しなかったの。けどね、もうすぐその警察官、刑務所から出て来るのよ。そうしたら、どうする? 私、また捕まったらどうしようって、けどもう今度は大丈夫。妊娠しないからね。まあ、気分は楽なのよ」
「……帰ろう」
巽はチェックを指示する。夕貴もそれに素早く反応した。
「今日は俺の奢りです。おい……、飲みすぎだよ……。すみません、軽くしたつもりですが」
「いや、久しぶりに楽しい酒だったんだろう。来て良かった」
その声を聞いて、本当にほっとしたが、
「ごめん、私、お金ないの……」
「帰るぞ」
巽の言葉など、何も聞いていないかのようにうなだれる香月。
「どうしよう……榊にも会ってこうか……」
だが、この言葉だけはわりと本気に決まっているので、
「やめろ。そんな酔って会ったって仕方ない」
と、しっかり否定した。
「台無しかしら。過去の思い出が」
「酔いすぎだよ。帰って寝た方がいい」
巽は「今日はこのまま帰ろう」と、香月の肩を抱いてなだめてくれる。が、
「阿佐子に会いたいな……」
香月は酔っているのかどうなのか、完全に自分を見失っていた。
「帰ろう」