狼彼氏に甘いキスを
ファーストキス
「羽藤サンってさぁ、めっちゃ可愛いよね。」
「俺らと遊ぼうぜ。」
数人の男子が口々にそんなことを言いながらあたしを囲んだ。
「……」
香水の匂いが臭い。
付けすぎだと思う。
場違いなことを考える。
だって相手にするの面倒だから。
「なぁ、授業サボらない?」
鬱陶しいなぁ。
短気なあたしは顔には出さないけど、キレる寸前だった。
「な、いいだろ?」
肩に手が置かれる。
その瞬間、あたしの中で何かが音をたてて切れた。
「邪魔なのよ、馬鹿共。」
思わず口から出た本音。
友達からよく注意される口の悪さ。
< 1 / 132 >