狼彼氏に甘いキスを
「やだっ!」
自分の声で目が覚めた。
そして、反射的に掴んだらしいものを見る。
――――手?
ゴツゴツしてて、暖かくて、安心する。
「…起きた」
呆気にとられた声で呟いた手の主、豊岡くん。
あたし…っ。
恥ずかしくて手をパッと離す。
だけど、逆に握りしめられた。
「大丈夫?」
労る声音が心地いい。
豊岡くんの手があたしの頬を滑った。
その時、初めて頬に涙が流れてることに気付いた。
「嫌な夢でも見た?」
優しい声に涙が溢れる。