狼彼氏に甘いキスを


「代わりに夏織チャンも俺のものになって?」


 頭が追い付かない。

 かろうじて、声を出す。


「それって…」

 綺麗な顔に嬉しそうな笑みが浮かんでる。



「好きだよ、夏織チャンのことが。」



 涙腺が弱くなってるのか、涙がまた溢れてくる。

「夏織チャンは?」

 答えなんか、一つしかないに決まってるじゃない。



「豊岡くんのことが、好き…!」



 豊岡くんは笑って、あたしの顎を掴んだ。


「よかった」


 そう囁き、優しく唇を合わせる。
 一瞬で離れる唇。


「片思いかと思ってた。」


 そんなわけない。

< 44 / 132 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop