体で伝える愛言葉
慎二の家についてから、私たちは傷の手当てをされた。


「喧嘩するなって言っただろ?しかも男相手に…。傷が残ったら、どうすんだ?」

「傷が残っても愛してくれるでしょ?」


おどけてみる。


「そう言う問題じゃないだろ」

廉斗に頭を小突かれた。


「お前ら、二人にしとくと危なっかしいわ。外出禁止。」


「だから、先に喧嘩を売ってきたのは、あっちなんだって。」

「だから、無視して逃げりゃいいだろ。」


「逃げたら負けじゃん。」


「負けてたろ。俺らがいかなきゃ完璧殺られてたぞ。」


「もう少し頑張れば勝てたもん。」


「勝たなくていいんだよ。あんなの相手に勝っても嬉しくねぇだろ。」


「わかった…次からは、女に喧嘩売られたときだけ買う。」


「まだ懲りねぇみてぇだな。」

二人がにらむ。


「冗談だよ。喧嘩はしない。」

「ホンとにわかってんのか?」

それから説教は、一時間近く続いた。


「花梨どっちがかっこよかった?」


「廉斗でしょ。一瞬で雪だるまをねじ伏せたとき、チョーかっこよかった♪琴弥は?」


「私は慎二だね。キレてるとき、クールで大人っぽくてかっこよかったなぁ~♪」


「ってか慎二も、琴弥も『鏡見てから出直してこい。』って発想一緒だし~。」


「でしょ?あれマジでウケたんだけど。」


私たちののろけ話は、わざとらしい2つの咳払いによって、中断した。
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