体で伝える愛言葉
しばらくして、部屋のドアが開いた。


暗闇の中の気配で分かる。


廉斗だ。


「花梨…」


返事なんかできる状態じゃない。


「何怒ってんのか知らないけど、俺が原因なのか?だったらいってくれなきゃわかんないだろ?」


こんなときに、どうしてそんな優しい言葉かけれるね?


あなたはただ、八つ当たりされただけなのに。


悪いのは私なのに。


「花梨…泣いてるのか?」


「廉斗の…せいじゃ…ない…。」


「だったら何があったのか話せよ。理由もわからずにキレられたら気分悪いし。」


廉斗の言うとおりだ。


大人だな。


私なら絶対キレてる。


「ごめん…なさい。」


「謝れじゃなくて、話せって言ったんだよ。謝るのはそれからだ。」


「嫉妬…してた。廉斗赤ちゃんの事ばかりで…私のことなんて…どうでもいいのかなって…そう思ったら…すごく不安になって…そんな自分が嫌になって…。」


沈黙が流れる。


きっと廉斗は呆れてるだろう。


もう口を利いてくれないかもしれない。


私は…最低だ。


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