体で伝える愛言葉
廉斗の口からため息が漏れる。


「なんだよそれ…。」


そう言われても仕方ない。


「おもっきし、俺のせいじゃん。」


えっ?


今なんて言った?


「ごめんな。不安な思いさせて。確かに子供は好きだよ。早く生まれてこないかな。早く顔がみたいなって思う。産まれてからも、多分子供ばかり見てるかもしれない。でも、一つだけわかってほしい。子供が生まれても、今お腹にいるときも、子供と同じくらい、花梨を愛してる。」


廉斗…。


「お前が元気ないって言うのは、なんとなく気付いてた。でも妊娠してるから体調悪いのかなくらいにしか思ってなかったんだ。ホントにごめん。」


「私のこと…今でも愛してる?」


「当たり前だろ?今だって、これからさきだって、ずっとお前を愛してる。だからもう不安になるな。」


「ありがとう。」


「花梨、これからは、思ったことちゃんと言おう?俺も言うから。どんなくだらないことでも、どんな小さいことでも、ちゃんと話し合おう。」


蓮斗はそう言って私を抱きしめてくれた。

廉斗の体温が、優しさが伝わってくる。


「好きだよ。花梨」


「私も、廉斗が好き。」


廉斗が唇を重ねてくる。


しょっぱいキスの味がした。


きっと私の涙の味だ。


悲しい涙が乾いた後の、嬉しい涙の味。


[ママよかったね。]


そんな声が聞こえたような気がした。


< 39 / 71 >

この作品をシェア

pagetop