体で伝える愛言葉
廉斗は、慎二と一緒で高校には行かず、働いている。


元ヤンで、喧嘩や暴走行為ばかりしていた二人を拾ってくれたのが、今の社長。


だから、社長にはすごく感謝してるんだって、慎二が話してくれた。


「俺の何がいけなかったんだろうな…」


そういって、またため息をつく。


「そうやっていつまでも引きずってるのが、フラれた原因なんじゃないの?」


思わず毒を吐く私。


「あっ?」


「だってそうじゃん!いつまでも過去にこだわってても、何も解決しないよ?大事なのは、過去にすがり付くことじゃなくて、これからをどう生きるかでしょ?」


気付くと、みんな私に注目していた。


「なっ何?」


「なんか…すげぇこと言うなぁと思って…。」


「花梨キャラ違うし。」


「えっ?いやっ…。」


顔から火が出そうとは、まさにこの事。


私は、下を向いて黙り込んでしまった。


「…そっか…そうだよな。ありがとう花梨ちゃん。さっきは、ガキ扱いしてごめんな。」


廉斗は、急に立ち上がると、満面の笑みで私の手を握ってきた。


その廉斗の笑顔に、迂闊にも一目惚れしてしまった。
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