体で伝える愛言葉
着信に表示されていたのは、廉斗ではなく、慎二だった。


「慎二?」


嫌な予感が大きくなる。


「花梨落ち着いて聞いてくれ。廉斗が足場から足滑らせて頭から落ちた。今から迎えに行くから、待ってろ。」


意味が分からない。


廉斗が落ちて、慎二が迎えにくる?


「どういうこと?」


私の頭は、慎二の言葉を冷静に整理できない。


「とにかく今から行くからそこでまってろ。」


そう言って電話は切れた。


私はなぜか琴弥に電話していた。


「廉斗が落ちた。」


「聞いたよ。私も今からそっちに行くから、待っててね。」


琴弥は、到着するまで電話を切らないでいてくれた。


あとから慎二に聞いた話では、廉斗は前日の雨のせいで塗れていた足場に、低いからと命綱をつけずに上り、足を滑らせたらしい。


琴弥が到着してすぐに慎二がきた。


私は急いで、車に乗り込んだ。
< 45 / 71 >

この作品をシェア

pagetop