体で伝える愛言葉
病院についてすぐ、白衣の人が話しかけてきた。


廉斗より少し年上か。


あまり年が変わらないように見えた。


「ご家族の方ですか?」


「はい。」


「廉斗の嫁です。」


横で慎二がフォローしてくれる。


凜は琴弥が見てくれていた。


「奥さん、事は申告です。命に別状はありませんが、脳の損傷がひどく、意識が戻るかどうか…。」


うそ…。


「花梨、座ってろ。」


慎二が私をいすに座らせてくれる。


すると今度はやけに体格の良いおじさんが私の前にたった。


「すみません。俺がもっとちゃんと注意してれば。」


「違うんです。廉斗はきっと疲れてた。夜泣きのひどい凜を私に変わって寝かせてくれて…私のせいなんです。私がもっとしっかりしてたら…。」



私のせい。


廉斗の朝の姿が鮮明に思い出される。


慎二も琴弥も、朝までそばにいてくれた。

2人がいなければ、私はどうなっていたかわからない。
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