体で伝える愛言葉
誰かが私を呼ぶ。


でもそれは、懐かしいあの人の声じゃなかった。


どれくらい眠ってたんだろう。


なんだか騒がしい。


「花梨!!よかった!!」



そう言って抱きついてきたのは琴弥だった。


「琴弥?」


「もう!心配かけて!あんた廉斗くんのベットのそばで倒れてたのよ!!巡回中の看護士さんが見つけてくれたの!3日も眠ってたんだから。」



お母さんが教えてくれた。


「廉斗!!廉斗は?凜は?」



「まだ何の変化もない。凛ちゃんなら今おばさんが見てくれてる。」


私は急いで、廉斗の部屋に向かった。


おばさんが驚いて私をみる。


「花梨ちゃん。もういいの?」


凜は、おばさんの腕の中で眠っていた。


「廉斗は?」



「まだ、意識は戻らないわ。ありがとう花梨ちゃん。ずっと廉斗の側にいてくれて。花梨ちゃん…こんなこと本当は言いたくないけど、あなたはまだ若いわ…廉斗はいつ意識が戻るかわからない。一生このままかもしれないって、昨日お医者様に言われたの。だからあなたは…。」


「嫌です!!廉斗は私の夫です。一生愛するって誓ったんです。廉斗のそばにいさせてください。一生このままでも構わないから、そばにいさせてください。もし奇跡が起きて廉斗が目を覚ましたとき、一番近くにいたいんです。」


私はおばさんに頭を下げた。


おばさんは、じっと私をみる。


「ありがとう。こんなに愛してくれる人がいて、この子は幸せね。おばさん嬉しいわ。でもね、今回みたいに無理だけはしないで。目覚めたときあなたが側にいなかったら、廉斗が不安になるじゃない。休むときはしっかり休んで。」


「わかりました。」


廉斗、あなたが目を覚ましたら一番におはようって言うから。


そして今度は私からあなたにおはようのキスをしてあげる。


だから…もう一度目を開けて。


早くしないと私また約束忘れちゃうよ?


私が忘れっぽいこと、あなたが一番よくわかってるじゃない。
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