体で伝える愛言葉
廉斗の事故からもう3ヶ月がたった。


「凛がね、寝返りをうてるようになったんだよ。」


凜はもう、生後4ヶ月。


体重もすごく重くなった。


微かに廉斗の手が動いた気がした。


でも、こんなこと今までに何度もあった。

それでも、期待してしまう。


今度は…って。


廉斗の目がうっすら開く。


「目乾いちゃうね。」


まぶたを閉じてあげる。


けれどまたすぐに開く。


えっ…?


廉斗はまっすぐに私を見ていた。


「か…り…ん?」


「廉斗!!廉斗の意識が戻った。」


私はすぐにナースコールを押した。


嬉しすぎて号泣してしまった私の代わりに、看護士さんがみんなに連絡してくれた。

みんなすぐに集まってきた。


廉斗は、パチパチとまばたきをするだけで、まだあまり状況を飲みこめていないようだった。


凜を差し出してみる。


廉斗は、しっかりと凜を抱いた。


凜も廉斗に体を預ける。


琴弥も、慎二も泣いていた。


「バカヤロー!心配かけやがって。」


みんな廉斗に言葉をかける。


私たちは、浮かれすぎていた。


浮かれすぎて違和感に気づかなかった。


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