体で伝える愛言葉
悲しそうに廉斗が私をみる。


私は、治療のために、ほかの部屋へ連れて行かれた。


足に力が入らず、車いすを用意された。


そんな私を廉斗が悲しそうに見送る。


[花梨ごめんな。
オマエがいることに気付かなかった。
なにも感じなくて、何もかもぶち壊したくて仕方なかった。
痛い思いさせてごめん。
怖い思いさせてごめん。
嫌いになった…よな?
オマエが嫌なら俺、潔く身を引くよ。
どうせ、こんなんじゃお前も、凜も幸せにしてやれないから。
今までありがとう。
さようなら。]


廉斗からメールがきた。


けど、私は返事をうつきにはなれなかった。


廉斗と会わないまま数日が経過した。


一枚の離婚届が送られてきた。


それを見た途端、すごく悲しくなった。


支えるって決めたのに。


一緒に乗り越えようって言ったのに。


私は何を考えてたんだろう。


廉斗は1人で泣いている。


何故かそう思った。


婚姻届を出したとき、私たちは確かに幸せだった。


ずっと笑っていられると信じていた。


気付けば、結婚してから、一年が経とうとしていた。


明日は結婚記念日だった。


結婚記念日には、毎年私たちの恒例のデートスポットだったあの場所に連れて行ってくれるって約束したよね?


あいたいよ…。


凜は、もう生まれてから半年が経つよ。


凜が生まれてから一年は、毎月祝おうって言ったよね?


まだ約束果たしてないじゃん。


「お父さん…お母さん…。」


「わかってるわ。行ってきなさい。」


「二人が結婚するときの約束覚えてるよな?約束は守るためにするものだ。」


「凜連れてくから。」


お父さんが車を出してくれた。


凜を抱いて廉斗の家のチャイムを押した。

たぶんもう退院しているだろう。
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