体で伝える愛言葉
おばさんは、驚いて私をみる。


「ごめんなさい。」


私は頭を下げた。


おばさんは笑った。


「ありがとう。帰ってきてくれて。あなたが来なくなってからのあの子は見ていられなかった。もうまともに話すこともできないの。それでも、一緒にいられる?」


「今度は絶対に約束します。」


「あってあげて。」


おばさんに部屋へ通される。


このドアの向こうに、廉斗がいる。


深呼吸して、私は部屋の扉を開けた。


凜はとりあえず預かってもらった。


まずは二人で話さなきゃ。


久しぶりにみる廉斗は、ずいぶんとやつれていた。


驚愕の表情で私をみる。


私は何もいわず廉斗の目の前で離婚届を引き裂いた。


そしてまたメールを送る。


廉斗の携帯が光る。


廉斗は携帯を開いた。


[これが私の答えです。
弱虫で、泣き虫な私だけど、あなたを誰よりも愛してる。
こんな私を愛してくれますか?
そばにいさせてくれますか?]


廉斗の手が震えている。


「が…り゛…あ゛…いあと。」


もう日本語になってないけど、私にはちゃんとわかる。


「あ゛い゛じでる゛…。」


私は、廉斗にキスをした。


廉斗は、私の胸に顔を埋めて、泣きじゃくった。


まるで子供のように。


私は、廉斗の柔らかい髪をなでながら、廉斗が落ち着くのを待った。


もうきれいな声ではないけれど、二度ときれいな声で話すことはできないかもしれないけれど、それでもあなたは、私の大好きな廉斗だよ。


遠回りしたけれど、これからは、ちゃんと一緒に歩いていこうね。
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