体で伝える愛言葉
廉斗が帰ってきた。


よかった…ちゃんと帰ってきてくれた。


「た…らいま。」


「お、か、え、り。」


「ご飯出来てるよ。」


食卓を指さす。


廉斗は、笑顔でそっちに行った。


凜を抱き上げる。


「り…ん、た…ら、いま」


凜は笑っていた。


パパが帰ってきてよかったね。


こうして、普通に顔を見て会話して、普通に生活していると、廉斗の耳が聞こえないなんて、嘘なんじゃないかって思う。


でも、廉斗の部屋から音楽が流れないと、やっぱり現実なんだって思わされる。


廉斗が音楽を聞かなくなってから、私も音楽を聞かなくなった。
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