体で伝える愛言葉
“昨日はごめん。花梨は俺のためを思って言ってくれたのに。”


廉斗からメールがきた。


“気にしないで。私はただ廉斗に前みたいに笑っていてほしいだけ。”


コレが私の素直な気持ち。


琴弥も帰ってから慎二に話したらしい。


それから2人で手話の本をかいに行ったんだって。


慎二も琴弥も廉斗のために協力してくれる。


それは、同情とか哀れみなんかじゃなくて、2人とも本当に廉斗が好きだから。


慎二が会社のみんなにメールして、みんな手話の本をかっていた。


廉斗の職場は、手話ブームになった。


私や琴弥も手話の練習をする。


覚え立ての手話で会話をしてみたりもした。


あの事故から一年。


愛娘はもうすぐ一歳になる。


この子が大きくなったら手話を教えてあげよう。


手話って、とても優しい言葉なんだよ。


私は、手話を覚えながら、障害を持って苦しむ人たちを支えるボランティアにも興味を持った。


そして“介護”って仕事にも、興味をそそられるようになった。


「私社会福祉士になりたい。」


廉斗、琴弥、慎二。


そして私と廉斗の両親も応援してくれる。

私は、資格を取得するために、勉強をはじめた。
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