体で伝える愛言葉
すべての授業を終えて、私と琴弥は、私の家に帰った。


「ただいま…?」


ドアを開けて異変に気づく。


静かすぎる。


「廉斗。廉斗は?」

私は急いで廉斗の部屋へ行った。


廉斗はいなかった。


琴弥も探してくれた。


「おかしいね。」


私はトイレや、寝室を探した。


そのときだ。


「花梨~いたよ~。」


「どこ!」


琴弥は、ベランダを指さしていた。


そこには、私たちの方に背を向け、外を見ている廉斗がいた。


窓にはカギがかかっている。


じゃぁいったい凜は?


そのときだった。


「花梨~?帰ってるのか?」


慎二の声だ。


なんで慎二がうちに?


「ここだよ~。」


琴弥が慎二に声をかける。


「琴弥も来てたのか。ってか廉斗しらね?朝から凛ちゃんひとりにしたままどっか行ってんだよ。カギも開けっ放しだったし」

私と琴弥は、窓を指さした。


「ゲッ廉斗!?なんで?」


「コッチが聞きたいよ。」


「廉斗に1人じゃ不安だから来てくれって言われたんだよ。したらさ鍵は開いてるし廉斗はどこにもいないし。凛ちゃんひとりが家にいてさ、近くにいるのかと思って、凛ちゃん連れて探しに行ってたんだよ。」

「その荷物は?」


「ついでに買い物。」


「携帯に連絡しなかったの?」


「電話もメールも音沙汰なし。」


「なんでベランダ確認しなかったの?」


「いるとおもわねぇじゃん。カーテンしまってたし。カーテンの隙間から窓が開いてんの見えて、確認せずにカギしめちった」


「カーテンしまってた?」


「閉まってた。まさかと思って開けたらやっぱりいた。」


「もう、そうならそうと一言連絡してよ。」


「オマエ電源切れてるだろ。」


「あっそうでした。」


昨日携帯つついてて、充電せずに寝ちゃったんだっけ。


だから朝少しつついただけで電源落ちたんだった。


「琴弥は?」


「ケータイ家に忘れた。」


凜は慎二の腕の中ですやすやと眠っていた。
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