体で伝える愛言葉
ードンッ!!ー


突然なった大きな音に私たちは振り返った。


廉斗がコッチをにらみながら窓を叩いている。


「鍵開けるの忘れてた。」


私は急いで窓を開けた。


“慎二てめぇ~。”


“わりぃ。まさかいるとは思わなかったんだよ。”


廉斗は洗濯物を干していた。


鍵のかかったのに気付いて、中を見たら、慎二が凜をつれて出て行くのがみえたらしい。


“まぁ慎二は肉食動物だから。”


“どういうこと?”


琴弥の一言にみんなが首を傾げる。


“視界が狭い。(笑)”


“うっせぇ。”


私たちのルール。


それは、廉斗の前では、手話を使う。


誰が言い出したってわけじゃない。


廉斗に疎外感を与えないために、いつのまにか習慣になっていることだった。


“嫌がらせか?”


“だから、わざとじゃないんだって”


タバコをおごると言うことで、廉斗は慎二を許した。


“あれっ花梨?”


“何でないてんだよ?”


気付けば私の目からは、涙がポロポロと流れ出していた。


“わかんない…安心したらなんか涙が出てきて…。”


“慎二、オマエは俺の女を泣かせた。よって、タバコだけじゃ収まり付かねえな”


“ちょっと待て。俺が泣かせたのか?”


“なく原因を作ったのは慎二だね。”


“えっ嘘…ごめん。”


こうして慎二は、みんなにご飯を奢ることになってしまった。


“ついでに前から目付てた金欠でかえなかった凜のイチゴちゃんの服買ってよ。”


“ふざけんなよ。金づるか俺は。”


いつのまにか凜も起き出していて、一緒に笑っていた。
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