蘭蝶Ⅲ【完】
また、いつものようにお母さんから暴力を受けていたとき


突然こう言われたんだ


「何であんたはこんなこともできないの!?

蘭や桜たちはこんなこと簡単にやってのけたわよ!?

ほんと、役に立たないわね!」




“蘭”“桜”


聞いたことのない名前だった

でも、直感で『お母さんの前の子供だ』って分かった


それからも、あたしが何か失敗するたびにこの言葉を言われた


そして、あたしは毎回



「ごめんなさい…千夏、頑張るから…もう失敗しないから…

だから、殴らないで…」



って泣きながら幼いあたしが言った


だから、あたしは必死で頑張った

お母さんの前の子供より、優秀にならなきゃ


そうしなきゃ、またお母さんは…


“いなくなっちゃう…”


幼いあたしはそれがトラウマで、ずっとそう思ってた
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