センセイと一緒 ~feel.Naoki~
一章
1.まさかの特進
あと数日で7月になるという日。
鈴菜は家のリビングで両親とともに進路について話していた。
進路希望調査票の提出期限は明日だ。
鈴菜ははぁ~と息をつき、両親を見た。
「やっぱK大、かなぁ……」
「あんた今更、何言ってるの。K大以外、他にどこがあるっていうのよ」
母はお茶を一口飲み、ため息をつきながら言う。
父もその隣で口を開いた。
「K大以外は許さん。他の大学にしようものなら勘当だ」
「……え、ええっ?」
「前々からお前には言っていただろう。K大は昔、わしも母さんも志望したが、結局二人とも受からなかった。だからお前にはぜひとも、K大に行ってほしい」
父の言葉に鈴菜は唖然とした。
なぜ両親がK大を熱心に勧めるのか、昔から不思議に思ってはいたが……。
まさかそんな理由があったとは。
しかし、親の青春の苦い思い出を押し付けられても……。
それに鈴菜の今の成績では、K大は正直、厳しい。
うーんと考え込んだ鈴菜に、母は事もなげに言う。
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