センセイと一緒 ~feel.Naoki~
「え、……それなら、別の子の方が……」
「それがさ。あいつに『何欲しい?』って聞いたら『世界児童文学の本』とか何とか言ってきてさ」
「……」
確かに松井さんはそういうのが好きそうではある。
佑一は困ったように鈴菜を見た。
「そういうのに詳しそうなの、森下さんぐらいしか思い浮かばなくて。……ね、このとーり! 頼むよ!!」
佑一は縋るように鈴菜を見る。
その迫力に鈴菜はのまれ、思わずこくりと頷いた。
確かにそういう本なら、他の子よりは自分の方が詳しいだろう。
鈴菜が頷くと、佑一はよかったと言うように肩を下ろした。
「じゃあ、来月のどっかの日曜、塾の後に本屋に付き合ってもらっていい?」
「ん、わかったよ」
鈴菜は軽く頷いた。
佑一はよろしく、と言い踵を返して教室を出ていった。