センセイと一緒 ~feel.Naoki~
4.青少年の悩み
――――静まり返った、夜の公園の片隅。
鈴菜はブランコに腰かけていた。
ブランコに乗るのはかなり久しぶりだ。
前後に揺らすと、キィと鎖が音を立てる。
その横で、直樹が鎖を掴んで軽く揺らした。
「……これってさ、振り子の原理だよね」
言いながら、直樹は鈴菜の後ろに回りトンと背中を押した。
キィッという音とともに、ブランコが動き出す。
「振り子の等時性、か。まさにこれだね。……知ってる? 鈴菜」
「……ううん。何? それ」
「振り子の幅が大きくても小さくても、往復する時間は同じという定理だよ。ま、振り幅が大きくなると誤差が生じるんだけどね」
直樹は理科は物理と生物を採っている。
鈴菜は物理はからきしダメだが、直樹は物理が得意らしい。
へーと思った鈴菜の背を、直樹はもう一度トンと押した。