センセイと一緒 ~feel.Naoki~



はっきり言って、今のこの状態は直樹にとっては拷問だ。

自分で作り出した状況とはいえ……

平日も土日も一緒にいると、さすがに堪える。


――――鈴菜を、抱きたい。


けれど鈴菜はまだ一線を越えることに対して戸惑いがあるようだ。

直樹自身も不安がないわけではない。

直樹はこれまで女性を抱いたことはないし、鈴菜もはっきりと聞いたわけではないが、恐らく男性経験はないだろう。

お互い初めてでうまくいくかどうかはわからない。

けれどもう、どこまで耐えられるのか……自信がない。


無理やり迫るようなことをして、鈴菜を傷つけたくはない。

鈴菜を大事にしたい。

その思いはある、けれど……。


鈴菜と付き合い始めてから、直樹の生活は一変した。

生活が、というより……見える世界が変わったという方が正しいかもしれない。

鈴菜が自分に向けてくれる、あの澄んだ瞳。

思わず目を奪われる、輝くような笑顔。

鈴菜と共に過ごすことで、『幸せ』がどういうものであるのか直樹は初めて知った。

そして一度知ってしまったら、もうそれを手放すことはできない。


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