センセイと一緒 ~feel.Naoki~




――――そう。

体を重ねなくても、今、自分は充分に幸せだ。

そう、思うのに……。


「……っ……」


――――鈴菜が欲しい。

自分の心が、体が、そう叫んでいる。

鈴菜の全てを自分のものにしたい。

鈴菜が自分だけを見るように……

他の男など、入る余地もなくなるくらいに……。


直樹はぱたんと携帯を閉じた。

佑一に嫉妬するのは、自分に自信がないからなのだろうか。

鈴菜と体を重ねれば、嫉妬することもなくなるのだろうか。

わからない。けれど……


今はただ、鈴菜が欲しい。

鈴菜の心も体も、全てが欲しい。

鈴菜を思うだけで、体の奥から熱いものが湧き上がってくる。

抑えようとしても抑えきれない衝動。

直樹は振り切るように椅子から立ち上がり、1Fのリビングへと降りていった。



<***>

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