センセイと一緒 ~feel.Naoki~



<side.直樹>



土曜日。

直樹は秀栄塾のドアをくぐり、中に入った。

いつも鈴菜と待ち合わせをしている、裏の休憩スペースへと向かう。

……が。


「……」


いつも5分前には来ている鈴菜が、今日はいない。

直樹はぐっと唇を噛みしめた。

昨日、何度も鈴菜にメールを送ったが鈴菜から返事はなかった。

電話をしても繋がらない。


――――明らかに、避けられている。


焦りが直樹の胸に広がる。

はっきり言って勉強どころではない。

今すぐにでも鈴菜の家に行って鈴菜に会いたい。

けれど直樹は、鈴菜の家の場所を知らない。


「鈴菜……っ」


直樹は踵を返し、2Fの教室へと上がった。




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