センセイと一緒 ~feel.Naoki~



二人は何かを話しながら道を歩いていく。

直樹は体中の血が逆流するような気がした。


……どうして……


抑えきれない怒りと嫉妬が胸に広がる。

まさか鈴菜は佑一に会うためにここに来たのだろうか?


――――許せない。


胸の底から、黒い感情が湧き上がる。

それは一瞬で直樹の心を黒く塗り潰した。

鈴菜は誰が何と言おうと、誰にも渡さない。

鈴菜が例え佑一を好きでも……

鎖に縛ってでも、薬を盛ってでも、自分の傍に置いておく。


そのためならもう、手段は選ばない……。


黒い衝動に押されるまま、直樹は問題集を鞄に突っ込み、教室を出た。

講師が驚いたように声を掛けるが、振り返ることなく階段を駆け下りる。

……もう、何がどうなってもいい……

鈴菜さえ自分の傍に居れば。

直樹はドアを出、繁華街の方へと走り出した。



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