センセイと一緒 ~feel.Naoki~
3.特別講義
7月下旬。
終業式の日。
鈴菜は蒸し暑い体育館の中で、校長先生の話を聞いていた。
終業式が終われば夏休みに入る。
とはいっても今年の夏は勉強漬けで夏休みはないに等しいが。
やがて校長先生の長い話が終わり、司会の先生の声が響いた。
「次は生徒会長のスピーチです。笠原君、お願いします」
司会の先生の声とともに、直樹が壇上に現れる。
気付かなかったが、この半年ほどで多少背が高くなったらしい。
レイヤーカットの黒髪に、朝焼けの空を映したかのような明るく爽やかな瞳……
7月の初めに隣の席になってから、直樹は前と同じように鈴菜にいろいろと親切にしてくれる。
そして鈴菜は、ダメだと思いつつもやはり直樹に惹かれてしまう。
話しかけられると嬉しいと思うし、笑顔を見ると胸がキュッとする。
けれど……