センセイと一緒 ~feel.Naoki~




こうして壇上の姿を見ると、やはり違う世界の人だなと思ってしまう。

……鈴菜とは違う、遠い世界にいる人。

鈴菜は胸が重くなるのを感じながら、直樹のスピーチを聞いていた。


「現生徒会長の笠原です。暑い中、皆さんを立たせておくのは申し訳ないのでさくっと終わらせたいと思います。3分間だけ、どうか我慢してください」


直樹のスピーチは軽快で聞きやすい。

生徒達の間から少し笑いが漏れる。

それは前の校長先生のスピーチが15分もあったせいかもしれない。

鈴菜は前に聞いた和泉の話を思い出した。


『スピーチってさ。長く話すより、短く話す方が難しいんだよね』

『……そうなの?』

『リンカーンだっけかな。一時間のスピーチなら準備は5分で充分だけど、5分間のスピーチなら準備は一時間必要、って言ってたしね』


確かにそうかもしれない。

短くしようとすればするほど、言いたいことをまとめなければならない。

そう考えると直樹のスピーチはやはりすごいと思う。

鈴菜は感心しながら直樹のスピーチを聞いていた。

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