センセイと一緒 ~feel.Naoki~



「N大って……あの、隣県にある国立のN大か?」

「うん、そう」

「ならいいぞ。というかむしろそっちを目指せ。大丈夫だ、お前ならできる!」

「……え、ええっ!?」


鈴菜はびしっと背筋を固まらせた。

まさかOKが出るとは思ってもみなかった。

唖然とする鈴菜に、父はふむふむと頷きながら言う。


「N大はうちの爺さんと婆さんが志望したが、結局行けなかった大学だ」

「……」

「遺言で、孫の誰かをN大に行かせてくれと言っていた。お前がN大に行けば、わしも遅ればせながら親孝行ができるというものだ」


父はううっと目元を押さえながら言う。

鈴菜は何も言えず、両親を見つめていた。

そんな、半世紀も前の苦い思い出を持ち出されても……。

しかしOKが出たのは良かった。

……あとは判定だ。

明日、先生に相談してみよう。

鈴菜は決心し、立ち上がった。



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