センセイと一緒 ~feel.Naoki~




「任期を終えるに当たり、僕がまず言いたいのは、皆様への感謝の言葉です」


直樹はぐるりと体育館内を見回し、続ける。


「生徒の皆さん、先生方、近隣の皆さん、そして愛すべきこの校舎、グラウンド、校庭、……一言で言うとこの高校の全てに、僕は感謝しています」


直樹は少し笑い、良く通る爽やかなテノールの声で言う。

その姿はまさに生徒会長という感じだ。

この姿がもう見られなくなると思うと、ちょっと寂しい。

見ると、直樹のファンだろうか、数人の女子生徒が目をうるうるさせて壇上の直樹を見上げている。

ファンクラブは解散したらしい、というのは和泉からちらっと聞いたが……。

鈴菜は壇上の直樹に視線を戻した。

直樹はいつも通りのテンポでスピーチを続ける。


「……なお、僕の生徒会長としての成績ですが。僕が就任時に公約で掲げたことは、94.5%ほど達成したかと思っています。あくまで僕の計算上ですが」


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