センセイと一緒 ~feel.Naoki~



8月上旬。

鈴菜は校舎の3階、Fクラスの教室で補講に参加していた。

補講は毎日あり、朝から晩までみっちりと行われる。

ちなみにFクラスにはエアコンがついており、夏休みの今は冷房が入っている。

3年F組は校舎の中で唯一、エアコンがついている部屋だ。

羨ましいと他のクラスの生徒達からは言われるが、この中でひたすら勉強せねばならないF組の生徒達にとっては羨ましくもなんともない。

……休み時間。

鈴菜はぶるっと肩を震わせ、自分の身を抱きしめた。


「……寒いなぁ……」


鈴菜の席はちょうどエアコンの送風口の真下にあり、冷気が体に直撃する。

涼しいのはいいが、これでは風邪をひきそうだ。

ちなみに冷房の強さはオートコントロールで、リモコンはなく、職員室で操作しなければならない。

ぶるぶる震える鈴菜を、隣の直樹が心配そうに見つめる。


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